はじめに
黒部立山アルペンルートという富山県と長野県をバスやケーブルカー、ロープウェーを使って縦断するルートがあります。
僕自身もアルペンルートの様々な乗り物を乗り継いで立山の高原や黒部ダムを見てきました。
富山地鉄の立山から室堂経由で黒部ダムへ向かうのを黒部・立山アルペンルートと言います。
そしてアルペンルートには実はもう一つルートが存在します。
その名は黒部ルートと言います。
富山地鉄 本線の終着駅の宇奈月から黒部峡谷鉄道に乗って最終的に黒部ダムで立山ルートと合流します。
紫:黒部・立山アルペンルート
赤:黒部ルート(一般非公開)
しかしこの黒部ルート 観光客向けに一般開放されていません。
理由としては観光向けにするには危険な箇所が多いかららしいです。
(2024年を目処に観光向けに整備するみたいです。)
そんな幻のルートの黒部ルート 気軽に観光することは出来ませんがそのルートを通ることが出来ます。
関西電力が主催する黒部ルート見学会というイベントで黒部ルートを見学し通り抜けることができます。
しかも運賃が高すぎるアルペンルートですがこの黒部ルート見学会はなんと無料です!
観光地化されたら確実に観光地維持のために高額な運賃をとられるに違いないし一般開放されていないプレミアな今のうちに見学会に参加するしかない!と思い応募しました。
倍率が高い黒部ルート見学会
応募するということは見学会に人数制限があります。 1回の見学会での受け入れ人数は30人になります。
人気の見学会なので定員割れということはまず起こり得ません!
黒部ルート見学会の募集ページの倍率をみてみましょう。
このように倍率は2倍から5倍と日によって異なります。
2019年から日曜日に見学会が追加されましたがけた違いに倍率が高いですね…
ちなみに私、筆者ゆうひは3回目の応募でようやく当選しました。
筆者ゆうひが当選した10月10日の黒部ダム出発ルートは最終的に5.8倍でした
逆の欅平出発ルートは10.1倍もあったそうです。
欅平ルートと黒部ダムルートがありますが黒部ダムルートの方が倍率は低めです。
黒部ルート見学会の応募について
見学会ということで応募や当選後の事務手続きなどが若干めんどくさいです。
ステップとしては
①ハガキで応募 (コース希望、見学希望日、氏名、住所などを記入)
②当選後 見学申込書類を記入
③見学申込書類を送付したら黒部峡谷鉄道の運賃支払いの案内が来るので振込か現金送付を行う (支払ったことを証明するものを見学会当日に必ず持ってくる)
と3ステップ踏むことになります。
それぞれ期限がありますので余裕を持って資料手続きをしましょう!
いざ! 見学会へ!
集合場所の黒部ダム駅 駅長室に来ました。
ここまで莫大な交通費がかかっています。
(アルペンルートの交通費は高けーよ!笑)
信濃大町から扇沢までのバスが1390円
扇沢から黒部ダムの電気バスが1570円です。
定員人数の30名ほどが駅長室に集まっていました。
ガイド役のおじさんが参加者の名前を確認します。
名前の確認が終わった後
別部屋に案内されます。
そこで公的証明書を確認して飛行機の保安検査のように危険物がないかチェックします。
それらが終わったらヘルメットが支給されてバスに乗り込みます。
観光向けに整備されていないので安全面は考慮されていないので原則的にヘルメットは常時着用でした。
バスで10kmある黒部トンネルを横断します。
途中のタル沢横坑でバスを下車
溜まった土砂をトンネルから出す役割を担っていたそう 絶景です。
タル沢横坑付近が一番気温が低いみたいで夏でも7℃とかなり低いです。
訪問したのは10月で吐く息が白かったので防寒対策はしっかりしといた方が良さそうですね
インクライン上部駅
ここでバスを降りてインクラインに乗り換え
インクライン
直訳すると傾斜という意味です。
運行の仕組みはケーブルカーに似ていますが
ケーブルカーは旅客営業に対しインクラインは軌道装置で作業員と荷物を運搬する工事用の乗り物です。
分速40mとゆっくり進み20分かけて815m下の黒部川第四発電所(くろよん)へと目指す
黒部川第四発電所に到着
真ん中に大きな黒部のジオラマのある会議室っぽいところに通されここで黒部ダムが電力供給にどれほど役立ってるかの説明とか黒部ダムの難工事の映像を観たりお昼を食べたりしました。
黒部ダムの建設はプロジェクトXで地上の星が流れるのがとても似合うくらいの難工事具合が伝わって来ました。
実際中島みゆきがこの黒部で地上の星を歌ったDVDをインクラインに乗っているときに流してくれました。
お昼前に発電所内を見学しました。
黒部の大量の水量を生かした水力発電機です。
タービン 普段は1秒間に6回転するスピードで動いていますが訪問時は停止していました。
黒部川第四発電所から黒部峡谷鉄道の終点欅平まで上部専用軌道で移動します。
1車両10名ほどの狭い車両で移動していきます。
通常は作業員を輸送するため運行されています。
この日も見学者とは別の車両に作業員が乗り込んでいました。
仙人谷 仙人谷ダムを望む
近くに新黒部川第三発電所があります。
画像はWikipediaから
仙人谷を出ると高熱地帯を走行します。
高熱隧道と呼ばれるところで今は40℃くらいですがかつては120℃くらいあった時期もあったようです。
硫黄の匂いが濃くなり窓も曇り始めるほどの高熱地帯です。
車両は高温でも耐えられるようにステンレスの車体を使っており万が一落石があっても潰れない構造になっているようです。
欅平上部駅に到着
欅平上部駅からの眺望
急峻な山々が広がる
雪崩で画像下部分にあった作業員宿舎が600m吹き飛ばされ84名の死者を出すほど雪崩が多く冬の作業が危険でした。
竪坑エレベーター
600mの高さを1分40秒で上り下りします。
エレベーター内はトロッコ列車をまるまる積めれる軌道があります。 これで宇奈月方面から来た資材を仙人谷方面へ運搬することができます。
トロッコ列車に乗車 スイッチバックして黒部峡谷鉄道の欅平駅に進入します。
そして欅平改札前で見学会は終了となります。
欅平駅の下側にある奥釣橋
黒部川が綺麗に見えることができます。
帰りは黒部峡谷鉄道の特別席に乗って帰ります。
黒部峡谷鉄道の運賃は宇奈月~欅平で1980円でそれに追加して370円支払うと特別席に乗ることが出来ます。
特別席って言っても大井川鐵道のトロッコ列車と同じですけどね
一方で普通車は背もたれがないただの椅子でした。短距離の移動だと普通車がベストだと思います。
欅平から宇奈月へと向かう上り列車は進行方向左側に黒部川が見えますが僕は右側に座ってしまったので遠目で黒部川をのぞきます。
宇奈月手前の黒部峡谷鉄道の名所
新山彦橋梁を渡ります。
もう一つの橋は旧山彦橋梁 かつてこっちを鉄道が通っていました。 現在は遊歩道になっています。
宇奈月駅に到着 欅平から80分かかりました。
先ほどの新山彦橋梁を観るためにやまびこ展望台へ
旧山彦橋梁から新山彦橋梁を望む
こうしてみると迫力のある橋だな~って思います。
その後 富山地鉄で新黒部、北陸新幹線で自宅へ帰りました。
一般には公開されていないレアな黒部ルート
観光地化されてない今 応募して参加してみてください。
訪問日
2019/10/10
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